固定価格買取制度(フィードインタリフ制度)入門


NEWS

2009年2月24日、経産省からフィードインタリフの考え方を取り入れた新助成制度の導入方針が発表されました。
・2009年7月1日、制度の基礎となる「エネルギー供給構造高度化法」が成立しました。
・詳細は新エネルギー部会を中心として審議され、2009年11月1日からの施行が発表されています。
・太陽光発電について、(フィードインタリフの一種の)余剰電力購入に、国や行政による助成を組み合わせた新制度を導入する方針が発表されています。これまで導入時の投資額の回収に20年以上かかっていたものが、平均的なケースでは10〜15年程度で回収できるようにする想定になっています。
・ドイツなどの成熟した制度に比べればまだ不足する点もありますが、現状に比べれば大幅な改善が期待できそうです。また、既存の設備も対象にする方針になっています。
経産省による公式サイトも開設されています。
・他の再生可能エネルギーも俎上に上り始めています。
・最近の動きについては私のフォローできる範囲で、このページの下の方に適宜コメントを付けてご紹介しています。

概要

「固定価格買取制度」とは、再生可能エネルギー(いわゆる自然エネルギー)の普及と技術開発を促進する、助成政策の一種です。英語では「フィードインタリフ制度(feed-in tariff law)」などと呼ばれ、FITと略記されます。 透明性が高く効果にも優れることから、ドイツやスペインなどを含む世界中の40以上の国や地域で広く用いられています。これまでの実績の違いから、今では再生可能エネルギーの普及を促進する方法の中で最も有効な手法とされています。

FITは端的に言えば、

  • 導入時点から一定期間(たとえば10〜20年間)は、電力会社への売電価格(タリフ)を保証する。一度設置してしまえば、その後10年なり20年なりは電力の買い上げ価格が変わらない。
  • 設置した時点での設備価格の相場に応じて、タリフを定期的に変えていく。市場価格の値下がりに応じて、助成額を減らしていく。既に設置された設備のタリフには影響しない。
という制度です。導入時点で初期投資回収の目処が立てやすいので、その分安心して導入でき、同じ助成水準でもより普及が進みやすい特徴があります。

しかしながら日本ではこの制度を紹介する文献が少なく、その特徴も良く知られていませんでした。

このスライドは、フィードインタリフ制度について図解を交えながらご紹介すると共に、日本の2009年10月までの制度との違いをまとめたものです。また今後日本が取るべき方策について、櫻井の個人的見解も載せております。再生可能エネルギーの普及促進にご興味のある方にご一読頂きたく、ここに公開いたします。

2007年12月に公開し、随時改訂しております。
更新履歴はこちら

解説スライド(PDF形式)

  • 要約版…はじめての方はこちらをどうぞ。現在の最新版は2009年4月10日版(ver.4.5)です。
  • 講演版…背景解説付き。現在の最新版は2009年4月13日(ver.4.6:PV-NET様用)です。
  • 太陽光発電の技術と力、世界の動向…太陽光発電に視点を絞り、技術なども交えて解説したもの。現在の最新版は2009年5月2日版(技術士会様用)です。 NEW!
  • 太陽電池技術あれこれ…再生可能エネルギーや太陽光発電の導入の背景についてはこちら。

書籍

ここの資料をベースにして、本を書きました。導入の背景や各国での政策的工夫の実例を、最新のデータや動向を交えて平易に解説。さらに、日本で太陽光発電やFITという道具をどう使うのが良さそうかを提言しています。

波に乗れ にっぽんの太陽電池
(日刊工業新聞社)
[bk1] [セブンアンドワイ] [Yahoo!ブックス] [amazon]
1章:再生可能エネルギーの役割
2章:太陽光発電の力
3章:ドイツの成功と各国の状況
4章:フィードインタリフの効果と導入
5章:日本を動かす太陽光発電

2009年2月に経産省が打ち出した助成形態を範疇に含む、おそらく日本唯一の解説書と思われます。

ご参考になれば幸いです。

正誤表

お恥ずかしながら初刷に数点、誤脱がみつかっております。こちらに正誤表がありますので、適宜修正頂ければ幸いです。

省庁による検討例

導入便益などの検討が最近相次いで発表されています。
環境省による導入費用や便益の検討例
・再生可能エネルギー(そのうち太陽光発電が79GWp)の導入費用:2030年までの累計で25兆円(系統安定化費用含む)
・導入による便益:2030年までに累計58〜64兆円超、雇用創出が2020年で60万人、2030年で70万人
という試算結果が出ています。
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新エネルギー部会 議事要旨など
2009年5月現在、制度の詳細について審議が進んでいます。またRPS法小委員会でも関連した審議が行われています。
経産省による導入費用や負担方法の検討例
太陽光発電を50数GWp導入した場合について試算されています。系統安定化費用は2030年までに約5兆円の試算となっています。
経産省:「ソーラー・システム産業戦略研究会」報告書
2020年時点での経済効果は2〜10兆円/年、雇用規模は7〜11万人と予測。

他の方々による解説資料

日本語

私のよりわかりやすいかも。

英語

いろいろと。制度的に優れてる、というのは客観的に言えてしまいます。

日本での最近の動き、関係者の意見表明など

賛否問わず載せます。「これも載せたら」というものがありましたら櫻井までタレコミお願いします。

民間団体による活動など

NGOや業界の動きについては網羅は出来てません(櫻井の目にとまったもののみ)。各種ニュースサイト(例えば環境メディア)のほか、内田先生の日記などをおすすめしておきます。

関連ドキュメント

太陽光発電につきまして、下記のような資料も作成しております。お役に立てば幸いです。 職場の解説ページもご一読頂ければ幸いです。 IEA(国際エネルギー機関)が以前にドイツのFITを批判したことがある件については、下記をご参照下さい。IEAも最近、「(日本などが採用する)グリーン電力証書に基づいた方法よりも、FITの方が優れる」と表明しています。

温暖化に関する資料

温暖化に関する情報としては、下記をおすすめしておきます:

旧版の解説


Written by: 櫻井啓一郎